AlphonseのCINEMA BOX

すずめの戸締り

2024/04/09(火)追加

作品情報

制作年:2022
制作国:日本
監督:新海誠
主演:岩戸鈴芽、宗像草太
助演:ダイジン、岩戸環、海部千果、二ノ宮ルミ、芹澤朋也、岩戸椿芽、宗像羊朗
ジャンル:アニメ

行ってきます。

コメント

Alphonse 2024/04/09(火)

テレビ放映にて鑑賞。

災害を未然に防ごうと奮闘する鈴芽
というお話。

「君の名は。」「天気の子」に続く、
自然災害を取り扱った新海誠監督作品の3作目。

この作品の評価は
「君の名は。」以前の作品群が好きな人と、
以後の作品群が好きな人で大きく異なるように思う。

「君の名は。」以前が好きな人は、
設定が荒いだの、ご都合主義だの、
登場人物に感情移入しづらいだの、
批判的な意見が多いように思う。

逆に「君の名は。」以後が好きな人は、
上記の2作品を含めて、最高傑作ではないかと思われる。

私は「君の名は。」以後の作品が好きなので、
その理由を書いておく。

「君の名は。」以前は、とにかく地味。
登場人物の日常のとある一コマを切り取って、
丁寧に描いている。
しかしテンションが揚がるような高揚感はない。
ともすれば眠ってしまいそうになるほど退屈だ。

「君の名は。」以後は、世界を救う事がメインになる。
あくまで舞台は日本なので、
世界を救うというより日本を救う。
といった感じしかないが、
スケール感が「君の名は。」以前とは明らかに違う。

また恋愛アニメを数多く手がけてきた新海監督だが、
本作では恋愛要素は少なめ。
「君の名は。」も含めて、
恋愛作品にありがちなドキドキ、ハラハラ感はない。

代わりにミミズの登場シーンにそれはとってかわる。
得体のしれない何物かに果敢に立ち向かう主人公鈴芽。
その奮闘ぶりに、ドキドキ、ハラハラさせられるのだ。

「君の名は。」以後、スケール感をアップし、恋愛要素を薄め、
アクション色を強め、後半多少のコメディ色も交えつつ描いた本作は、
「君の名は。」以前の特色を廃し、「君の名は。」以後の特色が
バランスよく発揮されているといえるだろう。

それゆえ上記の2作品を含めて、
最高傑作ではないかと書いたのだ。

しかしこんな事になってしまうのは、
「君の名は。」でヒットメーカーとなった監督の宿命。
とも言える。

「君の名は。」以降はヒット作を連発しなくてはならない。
そのためには、2時間で多くの人に理解できるような、
単純明快な作品でなければならない。
テレビアニメのように、
2時間以上もかけて内容を描写することができないからだ。

また個人的な想いで、とある人物の日常を丹念に描いていても、
興行収入が上がらないと困る人達がいる。
そのためそんな作品は企画の時点で却下されてしまう。

デビュー間もない新人監督が自費でやりくりしていた頃とは違うのだ。

それに時代の要請もある。
SF作品がブームの頃なら、新海監督はタイムトラベルや、
遠い未来や宇宙を舞台にした話にしたかもしれない。

ファンタジーブームが日本のアニメでは長く続いているので、
神話、民話をモチーフにした作品が多くなっているのもそのためだ。

格闘漫画ばかり連載している少年誌の影響もあって、
バトルがなければダメだ。という輩もいる。

そんな声に促されるように、恋愛要素が薄まり、
アクション要素が増えていく。

監督が作りたかったものとは、
無縁の作品が公開され、大ヒットする。

新海監督も無名時代の頃に戻りたい。
今更思わないだろう。
多額の製作費や優秀なスタッフを使えるのもヒットメーカー。
というお墨付きがあるからだ。

以降はこのループにハマり「君の名は。」以前のような作品は、
ますます製作されなくなっていく。

「君の名は。」以前のような作品が公開されるようになるには、
新海監督作品にマンネリだ。飽きた。オワコン。
なんて声が出始めた頃だろう。