AlphonseのCINEMA BOX

Fukushima 50

2021/03/13(土)追加

作品情報

制作年:2020
制作国:日本
監督:若松節朗
主演:佐藤浩市、渡辺謙
助演:吉岡秀隆、緒形直人、火野正平、萩原聖人、皆川猿時、ダニエル・カール、田口トモロヲ、ダンカン、泉谷しげる、津嘉山正種、段田安則、吉岡里帆、斎藤工、富田靖子、佐野史郎、安田成美
ジャンル:ドラマ

自分たちが、最後の砦―

コメント

Alphonse 2021/03/13(土)

テレビ放映にて鑑賞。

福島第一原発が津波に襲われた
というお話。

2011年3月11日の巨大地震により津波が発生。
福島第一原発は津波の被害を受け電源停止。
原子炉の冷却機能が麻痺。
原子炉を冷却するため奮闘する福島第一原発の人々を描く。
実話に基づく物語。

まずは演者について。

タイトルの50は原発事故に奮闘する50人の人々。
という意味だが、映画を見る限りでは
吉田所長(渡辺謙)と伊崎(佐藤浩市)がメインの話。

その渡辺謙が一言もしゃべらないで画面に映っているだけで、
なんともいえない緊張感を与えてくる。
さすがはKEN WATANABEである。

一方の佐藤浩市は役作りなのか、
妙に疲労感が漂っている。
三谷幸喜作品とは比べ物にならないほど、
お疲れモード全開だ。

それ以外の人々はこれといった見せ場もないまま、
画面に映ったりそうでなかったりを繰り返している。
その人たちもなぜか疲労感全開。
妙にみんな疲れている気がした。

かといって未曾有の災害時に、
お気楽ムード全開というのもどうかと思うけど。

次に映像全般について。

本作で描かれた原発事故は過去何度かテレビで再現ドラマが作られてきた。
その多くは再現ドラマの途中に実際のニュース映像を流していた。
しかし映画にするからにはテレビの再現ドラマとは違う何かが必要だ。

そこでCG満載の超大作に仕上げてきた。
冒頭大津波が原発を襲うシーンにはじまり、
原発内の計器類から、バルブ類にいたるまでの緻密な描写。
のちに爆発する1号建屋や2号3号建屋。
そして建屋の爆発。
米露中のニュース映像に米軍ヘリ。
など。

あえてニュース映像を使わずに本作のために映像を作りあげている。
本作に対するスタッフの熱量、本気度が見えてくる。

最後に全般の感想について。

そんな内容であったため、
お涙頂戴路線の作品になるのかと思っていたが、
そんなこともない。
久々の映画超大作を観ているような気分だった。

今年で3.11から10年経つが、
本作を観ながら10年前の出来事を回想したりもしていた。
テレビは1週間原発事故のニュースだけを放送していた。
夜討ち朝駆けの寝る間もないほどに。

本作を観ていれば無理もない。
3.11に事故発生。
3.12に1号建屋爆発。
3.14に3号建屋爆発。
と立て続けに大事故が発生しているのだから。

その中で忘れてしまった事柄を思い出したりもしていた。
ベントなどはその最たるもので、
あれほどニュースで何度も連呼していたにも関わらず、

「ベントとはなんだっけ?」

とすっかりその意味を忘れてしまっていた。
ちなみにベントとは原子炉の内の圧力を低下させることを言う。

本作では冷却装置が機能しないため、原子炉内の圧力が上がり、
最終的に爆発してしまう事態を防ぐためベントを行う。
その結果放射能を周囲に待ち散らしてしまうのだが、
爆発させるよりはマシだという考えに基いている。

どうにか原子炉内の圧力の低下に成功し一応の決着。

立ち入り制限区域の桜をめでる伊崎のシーンと、
吉田所長の葬儀のシーンがあり、
ラストは2020年の東京オリンピックは復興五輪として
聖火リレーは福島から始まるで終了となった。

こんな作品が成立出来たのも「シン・ゴジラ」の成功があったからではないか。
なんて思ったりもする。

皮肉にも新型コロナウイルスにより上映期間中に自粛ムードが広まったため、
大ヒットにはならなかったものの、
見ごたえ充分な隠れた名作としていい作品だと思う。