セーラー服と機関銃
2020/04/06(月)追加
作品情報
制作年:1981年
制作国:日本
監督:相米慎二
主演:薬師丸ひろ子
助演:渡瀬恒彦、柄本明、風祭ゆき、柳沢慎吾、大門正明、酒井敏也、光石研、北村和夫、三國連太郎
ジャンル:ドラマ
カ・イ・カ・ン。
コメント
Alphonse 2020/04/06(月)
テレビ放映にて鑑賞。
ひょんなことから女子高生が暴力団の組長になった
というお話。
赤川次郎原作の同名小説の映画化。
この作品は、赤川次郎、薬師丸ひろ子、相米慎二監督の出世作であり、
代表作でもあります。
相米慎二監督の長回しも話題となりました。
初めて観た時は長回しばかりに注目していたため、
内容がサッパリ頭に入って来ず、
「こんな映画が、どうして大ヒットしたのか」
不思議でしょうがありませんでした。
十数年後、あらためて観る機会があり、
その時にこの映画の魅力がやっとわかりました。
その魅力を書いておこうと思います。
冒頭、いきなり薬師丸ひろ子のアップとタイトル。
薬師丸ひろ子の神秘的な目力が画面に緊張感を与えています。
そう、これは「野性の証明」のあの娘が主演している作品なのですから無理もありません。
しばらく、高校生達の会話が続きます。
当時流行った言葉使いをそのまま使用しているため、
おそらく今観ると多くの人は意味不明で興ざめしてしまうでしょう。
しかし、当時の流行語がこれだったのですから仕方ありません。
等身大の高校生を演出するために敢えて、当時の流行語を使っているのです。
物語が進み、暴力団目高組の組長になる星泉(薬師丸ひろ子)。
そこへ、刑事(柄本明)が現れ、
大量のヘロインが密輸され、
その密輸に泉の父親が関係していることが判明します。
へロインを巡って目高組と他の暴力団との争いが激化していく。
というストーリー展開。
今はめっきりなくなってしまいましたが、
それまで日本映画のアクションと言えば時代劇、戦争物、暴力団の抗争ぐらいしかなかったのです。
テロリストと戦うような作品が人気を博するのは90年代。
まして地球侵略の宇宙人とヒーローが戦うのは2000年代以降です。
この作品が誕生した頃は、
「ゴッド・ファーザー」や「仁義なき戦い」のような血で血を洗う暴力団の抗争が一般的でした。
そのため、この作品のタイトルに象徴されるような女子高生と暴力団という組み合わせはとても新鮮で、
コメディ作品ではないかとさえ思われていたのです。
しかし、改めて観ると笑える箇所は冒頭の高校生の会話ぐらいしかありません。
確かにそれまでのヤクザ映画と比べると微笑ましい感じがしないではありませんが、
大笑いするほどではありません。
この作品でもっとも印象的なのは、目高組の組員と泉がバイクで走るシーンです。
この作品公開当時、校内暴力が社会問題化し始め、ヤンキーや暴走族が街に溢れ始めていました。
そういった時代背景をしっかり踏まえておく必要があります。
目高組の組員達は最初から暴力団員だった訳ではありません。
家庭環境や、学校で落ちこぼれてしまった少年達が悪事に手を染め、
組員になっていったのです。
「組長は、かあちゃんの匂いがする。」
この言葉に象徴されるように主人公星泉は、組員達の聖母だったのです。
のちに「聖母たちのララバイ」なんて曲が流行したりしますが、
星泉(薬師丸ひろ子)は、この作品を観た少年達にとって聖母だったに違いないのです。
物語はクライマックスを向かえ、有名な機関銃連射シーンの後、目高組は解散します。
その後、佐久間(渡瀬恒彦)の死。
「わたし、おろかなオンナになりそうです まる」
で終了。
この時、星泉は赤いルージュとピンヒールで機関銃を連射しています。
赤いルージュとピンヒールは大人の女性の象徴なのでしょう。
この作品はコメディ作品でも、アクション作品でもありません。
普通の女の子が、成長し裏社会に落ちてしまう青春残酷物語なのです。
なんとも切なく逆シンデレラとも言えるような悲しい物語なのです。
そんな悲しい物語を癒してくれるのが、
主題歌なのです。
もうおわかりでしょう。
こうして、
薬師丸ひろ子は聖母になり、
主題歌は癒しの名曲になり、
赤川次郎はベストセラー作家になり、
相米慎二監督はヒットメーカーの仲間入りを果たすのです。