AlphonseのCINEMA BOX

ひろしま

2019/08/19(月)追加

作品情報

制作年:1953
制作国:日本
監督:関川秀雄
主演:岡田英次、加藤嘉、月田昌也
助演:月丘夢路、花沢徳衛
ジャンル:戦争

8万8千人が演じた“あの日”。

コメント

Alphonse 2019/08/19(月)

テレビ放映にて鑑賞。

広島に原爆が投下されて数年間の話。

音楽は「ゴジラ」で有名な伊福部昭。

この頃の映画はモノクロという事もあるが、
迫力が全く違う。
鬼気迫るものがある。

何気に映りこむ風景も戦後間もない日本を感じさせる。
とにかく綺麗じゃない。
川辺に電柱が一本立ってるだけで、他には何もない。
あるいは、混沌として、瓦礫だらけ。
家も粗末で高層ビルなどもちろんない。

登場する演者も、今ほどシュッとしていない。
エラが張って、背や鼻が低くて、目が細い。
いかにも、外国人が思い描く東洋人のような人が数多く出てくる。

当時の食料事情もあるのだろうが、
目だけがギラギラとして痩せこけて、
心から訴えかけている緊迫感がある。

さて、内容に触れていこう。
冒頭はB29の空爆をナレーションで語る。
それが、実はラジオ放送で、場面は学校の教室になる。
いきなり原爆のシーンにしなかったのは正解だった。

普通の学校のシーンにしてくれたおかげで、
抵抗なく観始めることができた。

その内、原爆の被害者にも差別が存在することがわかってくる。

そして、原爆投下。
火災と瓦礫と呻き声が続く。
この火災はCGなんかじゃない。本物の火だ。
ただ、実際はもっと酷かっただろう。
ケロイドで皮膚がむけていく描写とかあってもよかったが、
技術的にできなかったのだろう。

火災が沈下してからは、病院は野戦病院と化す。
帝国陸軍万歳と叫ぶ軍人がいたり、
死にたいと叫んでいる病人のそばで新しい生命が生まれたり、
身元不明の遺体があったり、
その遺体を積み上げて荼毘にふしたり、
包帯も薬もなく、震えていたり、
ありとあらゆる惨状が描かれている。

それでも、軍人達は戦争を止めようとしない。
綺麗な包帯に包まれて戦争続行を決定する。

その後、敗戦、敗戦の混乱、朝鮮戦争といった出来事がいくつか描かれている。

物語としては、
遠藤一夫を探す父親と、その息子の幸夫の物語がメインだが、
随所に出てくる庶民の姿が生々しい。

嘘ばかり発表していた大本営のため、
医者の言うことも信用できなくなる患者。
ドイツの毒ガスは糾弾するくせに、原爆は糾弾しない連合軍。
子供が生活のためと称して物を売り歩く。
念仏ばかり唱える年寄り達。
人一人殺したら死刑なのに、数十万人殺せば英雄扱い。

戦争が持つ狂気が至るところに垣間見える。

おそらく昨今の日本映画では、ここまでの映画は作れないに違いない。