AlphonseのCINEMA BOX

星を追う子ども

2018/01/08(月)追加

作品情報

制作年:2011
制作国:日本
監督:新海誠
主演:渡瀬明日菜
助演:シン、シュン、森崎竜司
ジャンル:アニメ

それは、”さよなら”を言うための旅

コメント

Alphonse 2018/01/08(月)

テレビ放映にて鑑賞。

明日菜はある日、自家製ラジオから不思議な音を聞く。
というお話。

誰もが観ておもうだろう、新海版「天空の城ラピュタ」だ。

ラピュタと違う所はラピュタが空中都市だったのに対し、
本作は地底都市だということ。

後は、新海監督が宮崎駿演出に挑戦しまくった作品になっている。
もう、これは宮崎駿監督人気に便乗してヒット作を狙いにいったのがありありだ。

序盤の一人で料理、洗濯、掃除をこなす明日菜は「トトロ」のサツキのようだし、
途中出てくる死神みたいなのは、巨神兵だし、
航空力学を無視して、空を飛ぶ乗り物は宮崎監督のデザインそのままだし、
明日菜の相手役のシュンは、「もののけ姫」のアシタカや「ナウシカ」のアステルだし、飛行石ならぬ、地底都市への鍵だし、
冒険の最中、風呂に入ったり、食事をしたりするのも「ラピュタ」のようだし。。。

探せばもっと一杯出てくるはずだ。

日本のテレビ番組(アニメに限らず)は何かヒット作が出るとすぐに亜流が生まれる。
ところが、「ラピュタ」を初めとする宮崎監督作品は映画作品だったということと、
公開時それほど大ヒットしなかったため、亜流が作られることはなかった。
「ラピュタ」公開時はロボットアニメ全盛期だったということもあるし、
映画作品ということで、連続アニメにしにくいということもある。

ところが、宮崎監督の評価があがったため、
庵野監督による「ふしぎの海のナディア」がテレビアニメ化された。
「ナディア」の場合は、前半は冒険活劇として成立していたが、
後半は庵野監督の独壇場だった。
それぐらい宮崎監督作品はリメイクが難しいのだろう。

本作も序盤は多少うんざりしながら観ていたのだが、
子どもを助けるあたりから俄然おもしろくなった。
得体のしれない怪物に襲われたり、シュンが追手と格闘したりと、
見所満載でしっかり冒険活劇の様相を呈していた。

最後は、死人を蘇らせるための生け贄を神が要求するのもリアルだったし、
明日菜が仮死状態になるのも新鮮だった。
同時期に活躍した富野監督が、
無慈悲に何の躊躇もなく登場人物を殺してしまうのに対応したのかもしれないが、
宮崎監督は死を正面から描きたがらない。
ところが、新海監督は、大林監督の影響があるのか、死を描くことをためらわない。

大林監督作品にはいつも死の匂いが漂っているが、
新海監督作品にも同じことが言えよう。

しかし、総評としては、「ラピュタ」のパクリでしかなかろう。
ラストも喪失感を抱えて生きてゆくのが人間の宿命。
という救いのない終わり方だった。
そのあたりがヒットしなかった最大の原因だといえる。

余談でしかないと思うが、
制服は大林監督の「時をかける少女」と同じデザインだったものの、
明日菜の卒業シーンなど必要だったのかとも思う。
このあたりは、新海監督の個人的趣味かもしれない。